法人様より、Dell製サーバーで使用されていた RAID5 構成のデータ復旧についてご相談をいただいた案件です。対象は Dell PowerEdge 系サーバーに搭載された Dell PERC H700 RAIDコントローラ による SAS HDD 構成で、Foreign / Missing 表示と複数 Virtual Disk 構成が絡んでいました。
本件では、単に「サーバーが起動しない」こと自体ではなく、業務上必要な共有データや業務データ、さらに VMware 仮想領域までどこまで復旧できるか を見極めることが主目的でした。つまり、RAID を見えるようにすること自体がゴールではなく、必要領域を正常に確認し、抽出できるかどうかが判断基準となる案件でした。
※ 顧客情報保護のため、固有の社名・識別情報・シリアル番号等は伏せ、一部の記載を一般化しています。
対象機器
サーバー機種: Dell PowerEdge T310
RAIDコントローラ: Dell PERC H700
HDD構成: Dell OEM SAS 2TBクラス
確認できた型番:
- Seagate ST32000444SS
- Seagate ST2000NM0023
- Seagate ST2000NM0001
- HGST HUS724020ALS640
機種名や型番まで確認できる案件では、単なる「RAID5サーバー障害」という把握より一歩踏み込んで、コントローラ世代や搭載メディアの傾向も踏まえた判断がしやすくなります。
障害状況
RAIDコントローラ: Dell PERC H700
RAIDレベル: RAID5
サーバー機種: Dell PowerEdge T310
物理ディスク: SAS HDD 複数台構成
状態: 一部HDDに読み込み不良あり
RAID情報: Foreign / Missing 表示あり
Virtual Disk: 複数VD構成
一部の領域ではファイルツリーが確認できる一方、別の領域ではパーティションが見えても内部スキャン結果が崩れる状態でした。この段階で、単純に複数台の HDD から RAID5 を組み直すだけでは不十分である可能性が高いと判断しました。
事前資料から見えていたポイント
今回の案件では、メール本文に加えて RAID コントローラ画面やサーバー関連資料も共有されていました。これにより、現物確認前の段階でも、単なる OS 障害ではなく RAID 構成全体の整合性に関わる障害 である可能性をある程度読み取ることができました。
RAIDコントローラの管理画面
物理ディスクの状態一覧
Virtual Disk の状態一覧
サーバー機種に関する資料
業務データ領域の容量管理表
この時点で重要だったのは、次の2点です。
一部の領域だけ見えても、案件全体としては「復旧できた」とは言えないこと
RAID自体を読めても、各Virtual Diskの内部構造まで正常確認できるとは限らないこと
PERC H700の複数Virtual Disk構成
Dell PERC 系コントローラでは、複数の物理ディスクで構成された Disk Group 上に、複数の Virtual Disk を作成できる場合があります。OS や仮想化基盤からは 1 台の論理ディスクに見えていても、復旧時には Disk Group 全体の見え方 と VDごとの構造 を分けて確認する必要があります。
今回のような構成では、まず複数の Physical Disk で RAID5 の Disk Group が構成され、その上に複数の Virtual Disk が定義されていました。見た目には先頭から順番に単純配置されているように見えても、作成順、削除・再作成、過去の再構成履歴などにより、各 Virtual Disk の割当位置が単純ではない場合があります。
※ 図版は別途挿入予定です。
復旧時に問題となった点
当初の確認では、Virtual Disk ごとに次のような差がありました。
VD0: ファイルツリー・ファイル内容ともに正常
VD1: パーティションは見えるが、内部スキャン結果が崩れる
VD2: パーティションは見えるが、内部スキャン結果が崩れる
この時点で、VD1 / VD2 については、VD0 と同じ見方でそのまま後続領域として扱うのではなく、各 Virtual Disk ごとの構造を個別に確認する必要がある と判断しました。見えているパーティションと、内部のファイル構造が正常かどうかは別問題だからです。
実施した解析
まず、読み込み不良のある HDD については、可能な限りクローンを作成しました。通常のコピーでは停止してしまうため、エラー領域を回避しながら読み出せる範囲を確保し、そのクローン側で解析を進めています。
その後、専用の解析環境を用いて、以下の項目を中心に検証しました。
ディスク順序
Missingディスクの位置
RAID5のパリティ配置
ストライプサイズ
Virtual Diskごとの実際の割当位置
ポイントは、Disk Group 全体を 1 本の巨大な連続 RAID として扱うのではなく、Virtual Disk ごとの構造を個別に確認する 必要があった点です。問い合わせ時に共有されていた資料で、複数の業務領域と複数の Virtual Disk の存在が見えていたため、最初から「RAID が読めるか」ではなく「必要な領域を正常に確認できるか」をゴールに置けたことも大きかったといえます。
復旧結果
解析の結果、必要領域のファイルツリーを確認でき、業務データを復旧することができました。復旧対象には共有フォルダや業務用データ領域が含まれており、最終的にお客様が必要とされていたデータの抽出に至っています。
今回のように、問い合わせメールの内容と事前資料の内容が揃っている案件では、復旧対象の優先順位を早い段階で整理できます。その結果、単に「読める領域があるか」を確認するだけでなく、実際に必要とされていた業務データや VMware 仮想領域まで到達できたか を基準に、より実務的な復旧判断を行うことができました。
技術的な注意点
PERC H700 のようなハードウェア RAID では、コントローラ上の表示だけを信頼すると、実際のデータ配置と一致しないことがあります。特に次のような条件が重なる場合は注意が必要です。
Foreign構成がある
Missingディスクがある
過去にHDD交換やリビルドが行われている
複数Virtual Diskが作成されている
一部Virtual Diskだけ正常に見える
このようなケースでは、RAID パラメータだけでなく、Virtual Disk 単位の構造や、各領域でファイルツリーとファイル内容が正常かどうかまで確認する必要があります。
まとめ
今回の復旧では、Dell PERC H700 の複数 Virtual Disk 構成がポイントとなりました。VD0 は通常の RAID 再構築に近い見方で正常に確認できましたが、VD1 / VD2 は同じ方法ではファイル構造が崩れて表示されました。最終的には、Virtual Disk ごとの構造を個別に確認しながら解析を進めることで、必要データの復旧に至りました。
ハードウェア RAID 障害では、見えているパーティションだけで判断せず、ファイルツリーやファイル内容まで確認することが重要です。データサルベージでは、RAID コントローラ障害、複数 Virtual Disk 構成、Foreign / Missing 状態の RAID 復旧にも対応しています。RAID 構成が不明な場合や、他社ソフトで一部しか確認できない場合もご相談ください。











