そもそも、大切なデータが保存されているHDD(ハードディスクドライブ)の構造はどうなっているのでしょうか。重度物理障害でのデータ復旧技術例をご紹介するにあたり、まずは普段あまり意識することのない、HDD(ハードディスクドライブ)内部構造をご説明いたします。
HDD(ハードディスクドライブ)について
データを記録するプラッタ面上(図1)を、データを読み取る磁気ヘッドがごくわずか(図2)に浮上した状態で高速で作動し続ける仕組みのため、非常に精巧な造りであると同時に、精巧であるがゆえに振動や衝撃に弱いという特徴も持つ精密機器です。
もちろん、現在製品として流通しているHDD(ハードディスクドライブ)は、MTBFという専門的な故障間隔計算式において、連続稼動させた場合での平均故障時間が100万時間以上といった品質で出荷されていますが、これはあくまで平均の場合の数値であり故障率が0という意味ではなく、実際の寿命は用途にもよりますが5~10年程度といわれています。
当社診断でも障害レベルが重く「重度物理障害」判定となる、HDD解体とパーツ交換を伴う復旧事例での作業を一部ご紹介します。
お預かりしたHDDが正常に駆動しない場合、プラッタに記録されているデータの状態を診断できず、データ復旧可能かどうかの確認が出来ません。この場合、内部のパーツの状態を確認する必要があるため、自社ラボ内にてHDDを解体いたします。
※当社では、HDDの解体が必要な場合は必ず事前にお客様のご了承を得ています。
解体し内部を確認、何らかの物理的な衝撃や時間経過などにより、本来ディスク記録面とごくわずかに離れているはずのプラッタと磁気ヘッドが接触、ディスクが回転しなくなったり読み取り機能が正常に働かなくなっている場合には、必要に応じパーツを交換しHDDが駆動しプラッタに保存されたデータを読み取れる状態まで機能回復する必要があります。
解体を伴わない復旧と比較した場合では、データを読み取れる状態に機能回復するための工数(作業ステップと時間)分、作業時間を余分に見込ませていただいております。
パーツ交換前と交換後でパーツ装着位置にわずかでも誤差が生じると、正常な駆動が見込めないばかりか故障に繋がる可能性が高くなるため、パーツナンバーが完全に一致する交換用パーツを調達します。
パーツナンバーの生成条件は様々で、型番が同じであってもパーツナンバーまでもが一致するとは限らないため、製品普及台数自体が少ない、発売から年数が経っているなどにより入手困難な場合には、代替パーツ入手まで数週間~数ヶ月のお時間を頂戴する場合があります。
代替パーツを取り出した後のHDDは当然ながら製品として使用できず処分対象となりますが、当社では可能な範囲でパーツ取り出し用のHDDを自社ラボ内にストックしております。
高性能化・小型・軽量化され、その内部に配置される各パーツも小型化、パーツ同士の接点が精密に組み合わされているHDDを解体するにあたっては、当然ながらデリケートな取り扱いが必要となります。
取り扱い次第で症状の悪化や致命的な故障につながる危険性もあるため、HDDの複雑な構造を知り尽くしパーツの取り扱い作業にも熟練した技術者が、慎重に緻密な作業を重ねて解体を行っています。
HDD内部は、ホコリやチリなどの粒子が入り込むだけで壊れるほどとてつもなく精密なつくりとなっているため、解体作業を行うための環境・空間には高度な清浄度を要求されます。当社では、この環境を整える作業用装置であるクリーンベンチを自社ラボ内に備えているため、HDD解体を伴う重度物理障害データ復旧も自社にて随時対応が可能です。
クローンディスク作成
パーツ交換によってデータを読み出す機械的な装置としての機能を回復できたところで、記録されているデータの確認・診断と、お客様のHDD保護のため、お預かりしたHDDとデータの記録状態が全く同一なクローンディスクを作成します。以降の復旧作業時に復旧元HDDとしても使用するクローンディスクの作成は、専用のツールを必要とし傷害程度が重いほど困難となりますが、当社では高度な専用機器を使用しクローンディスクを作成しています。作成時間については、傷害のある記録エリアからのデータ読み出しでは極端に読み出しスピードが低下するなど、作成開始から終了までの読み出しスピードが一定でなく、いかに熟練の技術者であっても完全な予測は不可能で、数週間を要することもあります
データの診断
作成したクローンディスクからデータを抽出、データ復旧可否の診断を行い、診断結果をご報告します。
データ復旧とデータの保存
データを復旧し、保存用HDDにデータを保存します。
- HDDの解体は症状を一層悪化させる可能性が高いため、復旧のために不可欠と判断後お客様の了承をいただけた場合のみ、細心の注意を払って行っております。
- HDDの障害程度、障害箇所は千差万別で、一つとして同じ症状はありません。データサルベージは、豊富な復旧実績をバックグラウンドに、症状毎に最適な復旧プランでお客様の大切なデータを復旧いたします。
ハードディスクのヘッドが壊れたと言う診断を貰いました。大切なデータがあるのですが、復旧をする事は可能ですか?
ハードディスクのヘッドが壊れている場合でも、データ復旧が可能な場合がありますが、いくつか注意点があります。
- 専門業者への依頼: ヘッドの物理的な故障は、自分で修理するのが非常に難しいため、専門のデータ復旧業者に依頼するのが一般的です。自分で試みると、さらにデータが破損するリスクがあります。
- データ復旧の可能性: ヘッドの破損状態によりますが、軽度の故障であれば比較的高い確率でデータが復旧できることがあります。しかし、ヘッドがプラッタ(ディスクの記録面)に深刻なダメージを与えている場合、復旧が困難になる可能性もあります。
- 費用: ヘッドの交換や修理は特殊な技術を要するため、一般的に費用が高くなりがちです。費用がどの程度になるかを見積もってもらうのが良いでしょう。
- 早めの対応: 早く対応すればするほど、データ復旧の成功率が上がる場合があります。電源を入れたり、ハードディスクを使おうとすると、さらにダメージを与える可能性があるので注意してください。
大切なデータがある場合は、すぐに電源を切って専門業者に相談するのが最善です。
ハードディスクのサービスエリアにアクセスできない場合も復旧できますか?
ハードディスクのサービスエリア(SA: Service Area)にアクセスできない場合でも、データ復旧が可能な場合がありますが、やはり難易度が高くなるため、専門のデータ復旧業者に依頼する必要があります。サービスエリアの問題が発生している場合の対処法について以下の点を考慮してください。
- サービスエリアの役割: サービスエリアはハードディスクの動作に必要なファームウェアや設定情報が保存されている場所です。この部分に問題が発生すると、ハードディスクが正常に起動しないため、通常の方法ではデータにアクセスできなくなります。
- 専用ツールの使用: 専門業者は、ハードディスクのサービスエリアにアクセスするための専用ツールや技術を持っており、ファームウェアの修正や修復が可能です。自分でソフトウェアを使って修復を試みるのは非常にリスクが高く、さらに悪化する恐れがあります。
- プラッタの状態による影響: サービスエリアにアクセスできない原因が、ヘッドや電子基板の故障、またはプラッタの損傷に関連している場合、それらの部品を修理・交換する必要があります。これも専門業者でしか対応できない作業です。
- データ復旧の成功率: サービスエリアの問題が原因であっても、プラッタ自体が無事であれば、データが取り出せる可能性は十分にあります。ただし、ファームウェアの深刻な損傷やデータエリアそのものが破損している場合は、復旧が難しくなることもあります。
このようなケースでは、できるだけ早く信頼できるデータ復旧業者に依頼し、詳細な診断を受けるのが最善です。業者の技術力によっては、サービスエリアの問題も解決してデータを取り出せる場合があります。